青果卸業の事務員の年収、仕事内容、福利厚生、残業は?勤続年数31年の自営業者に体験談を聞いてみた

ペンネーム:kogikogi
年齢:55歳
学歴:大卒
勤続年数:31年
年収:100万弱

青果卸業。自営で青果市場で競り落とした野菜や果物などを小売店に卸している。休日は日曜日と祝日、市場が定める月2回の水曜日とお盆、年末年始。

私の職業は青果卸業です。自営で弟と二人で2台のトラックを使って、青果市場で競り落とした野菜や果物などを小売店に卸しています。

朝は自宅を午前5時半に出発、50分ほどで他県の青果市場に到着した後、商品の前取りや下見を行います。

午前7時に野菜の競りが始まり、その後は花類、鶏卵類の競りがあった後に果物の競りとなります。午前9時頃にすべての競りが終了し、トラックへ積み込みを行います。

その後は配達するコースを二つに分け、私と弟で小売商店へ品物を届けます。私は午前中で仕事を終了、弟もほとんど同じ軒数を廻りますが、商品出しなどを手伝っているようで午後6時頃に終了するようです。

休日は日曜日と祝日、市場が定める月2回の水曜日とお盆、年末年始です。
仕事をしていく中で感じていることは、年々、小売店が少なくなり売上高も減ってきているのでこの商売をいつ辞めようかということです。

仕事を徐々に覚えていくことで利益も上がりやりがいを感じるようになった。

私は3年間会社勤めをしていて今の職に就いたので、2歳下の弟が先輩となりました。

最初はほうれん草と春菊の違いさえ分からずに周囲から笑われることが多かったですが、徐々に仕事を覚え、農協関係の新たな卸先を探すなどして売上高を少しずつ伸ばしていきました。

また一つの仕入れ先だけでなく、新たな仕入れ先を複数持つことで、商品をより広くより安く仕入れることができるようになって利益も上がっていきました。

前経営者の父親も喜んでくれて、業績がよい時はサラリーマンを辞めてよかったと思っていました。

夜間に仕事があるため辛いときも。健康管理が大変。

複数の仕入れ先を持ったことで睡眠時間が減ったことが一番つらい時期でした。まず通常の業務を行い、仕事が終了後に200キロほど離れた市場へ行って、午後5時半から午後9時まで競りに参加、その後に積み込みを行い、他の市場へ品物を出荷したりしました。

仕事が終わるのは深夜3時くらいで、2時間ほどトラックで眠った後に通常の業務を行いました。これを1日おきに繰り返していたので、かなり眠い日が続きました。

仕方がなく1人運転手を雇いましたが、市場の事務員にちょっかいを出したり、運転が雑だったりしたのですぐに首にしました。

再び1人で仕事をし始めましたが、やはり睡眠時間が取れずに仕事ができない日があったりしたために1年でこのサイクルを諦めました。

金銭面ではものすごく儲かっていたのでやめたくはありませんでしたが、体がやっぱり心配でした。

周りがどんどん廃業していく中で不況を肌で感じた。

私は青果卸業をしていた父や叔母さんを子供のころから知っていたので、職に就いた時には違和感はまったく覚えませんでした。

仕入れ先の市場でも子供のころから知っている方が多く、性ではなく名前で呼びかけられることがほとんどでした。

ただ昔のように小売店の数は多くなく、ほとんどの小売店の店主が60代から70代の方でした。そして青果卸業を続けていくうちに、小売店が次々に廃業していくなど不況を肌で感じることが多かったです。

また言葉巧みにすり寄ってきた同業者がいて、最初はお金払いがよく大量の注文をしていたのですが、ある日を境にお金の支払いをしなくなったことがありました。その時に感じたことはお金と人はすごく怖いということです。

自分の腕で稼ぎたい方にはやりがいがある世界。

今から青果卸業をしたいと考えるかたはたいへんだと思います。今の流通業界では卸業を通さずにできるだけ低コストで品物を巡回させるという考えとなっています。

このことか単価が低い青果物を扱って利益を上げようと思うなら、大量の品物を運ぶ必要があります。しかしながらトラックの値段は20年前の2倍になっていますし、燃料の軽油の値段も同様に20年前の1.5倍ほどとなっています。

またトラックは1年車検であり、毎日使用するため1台当たりの整備費用、タイヤ交換などかなりの金額となります。

また青果市場自体が直接、小売店へ配送を行うことが今の主流となっていますから、仕入れ先を直接生産者から行うことも考えなければいけません。果物などの輸入関係も頭に入れておかなければいけないなどいろいろと課題があります。

ただもっといい方法があるという方はチャレンジしてもいい世界だと思います。私も仕入れ先を複数にするという考え方で一度は成功しました。青果卸業という仕事、自分の腕で稼ぎたい方にはやりがいがある世界かもしれません。